やる気が出たら始める?実は逆です。
スケボーと「作業興奮」の話
「今日はスケボーしたくない。」
子どもがそう言うことは、珍しくありません。
疲れている。
気分が乗らない。
なんとなく面倒くさい。
そんな日は誰にでもあります。
でも、ここで少し考えてみてほしいことがあります。
「やる気がないから、やらない」のではなく、
「やらないから、やる気が出てこない」こともある。
これが、今回お話ししたい「作業興奮」という考え方です。
やる気は「始める前」に必要なのか?
僕たちはつい、
「やる気が出たら始めよう」
と考えてしまいます。
勉強もそう。
仕事もそう。
運動もそう。
そして、スケボーもそうです。
でも実際には、逆のことが起こります。
まずデッキに乗ってみる。
少しだけ滑ってみる。
1回だけオーリーをやってみる。
すると、
「あれ、ちょっと楽しいかも。」
となる。
もう一回やってみる。
もう一回。
そして気がついたら、最初はあんなに乗り気じゃなかったのに、夢中になっている。
これが「作業興奮」です。
行動することで、脳が少しずつその行動に乗ってくる。
つまり、
やる気があるから行動するのではなく、
行動したからやる気が出てくる。
そんな順番もあるのです。
子どもに「やる気を出せ!」と言わない
ここは、子どもと接するときにすごく大切だと思っています。
「もっとやる気を出して!」
「ちゃんと練習しなさい!」
そう言われても、子どもの気持ちはなかなか動きません。
むしろ、やること自体が嫌になってしまうこともあります。
だから大切なのは、
やる気を引き出そうとすることではなく、
最初の一歩を小さくすること。
「今日はオーリー100回やろう!」
ではなく、
「とりあえず乗ってみよう。」
それでいい。
乗ったら、少し滑る。
滑ったら、ちょっとトリックをやってみる。
そのうち本人が、
「もう一回やる。」
と言い始める。
ここからが、本当の練習です。
上達する子は「やる気がある子」なのか?
スケボーを教えていると、
「この子はやる気があるな。」
と感じる子がいます。
でも、もしかすると少し違うのかもしれません。
最初からやる気が満タンなのではなく、
「始めることに慣れている」
のです。
やる気がなくても、とりあえずデッキに乗る。
失敗しても、とりあえずもう一回やる。
できなくても、とりあえず続ける。
その小さな行動が、次の行動を生み出していく。
だから結果的に、練習量が増える。
練習量が増えるから、上達する。
上達するから、さらに楽しくなる。
そしてまた滑りたくなる。
「行動 → 楽しい → 続ける → 上達する」
この循環ができている子は強い。
スケボーで育てたいのは、技術だけじゃない
僕がスケボーを通して子どもたちに身につけてほしいと思っているのは、トリックの技術だけではありません。
「やる気がないからやらない。」
ではなく、
「まずやってみる。」
という感覚です。
人生では、いつもやる気があるわけではありません。
学校でも、
勉強でも、
仕事でも、
新しいことへの挑戦でも、
「なんとなく面倒くさいな。」
という瞬間は必ずあります。
そんなときに、
「やる気が出るまで待つ」
のではなく、
「とりあえず一歩動いてみる。」
その経験を、子どもの頃から持っていることは大きいと思います。
「やる気」は、待つものではない
スケボーを始めたばかりの子に、
「やる気を出して!」
とは言いません。
まずデッキに乗ってもらいます。
そして一回滑ってみる。
転んでもいい。
失敗してもいい。
もう一回やってみる。
その中で、
「あ、できた。」
「もう一回やりたい。」
という気持ちが生まれてくる。
それでいいんです。
やる気は、最初から持っていなくてもいい。
行動した後に生まれるやる気もある。
だから僕は、子どもたちにこう伝えたい。
「やる気が出たら始めよう」じゃない。
「まず始めてみよう。やる気は後からついてくる。」
スケボーは、技を覚える場所だけではありません。
「動き出す力」を身につける場所でもある。
今日もまず、デッキに乗る。
そこから何かが始まります。